5時起床とともにレース準備を開始する。朝食は日本から持って来た、レトルトのおかゆとツアー会社が用意してくれたオニギリ1個とバナナ1本を食べる。あとはレースが始まる迄にこまめにジェルを補給する。
ボストンマラソンは歴史が古く今更コースが変えれないのかスタートはボストン郊外のホプキントンって所からのスタートでワンウェイのほぼ真っ直ぐの1本道でゴールのボストンを目指す。なのでほとんどの参加者はボストンからシャトルバスを使って郊外に輸送してもらい、そこからスタートする。3万人近い参加者を順次送っていくのでボストン中のスクールバスをかき集めてるいるようでどえらい台数のバスがランナーを乗せて郊外に運んでいく。
私はWAVE2でスタートは10時25分。ホプキントンで降ろされて1時間半くらい待機しないといけないので厚手の服を着て、レース直前ギリギリまで着れて捨てる古着はドネーションという扱いになる。雨合羽はゴミ袋がたくさんあって逐一いろんなところで回収してくれる。こういうのを見ると東京マラソン脱ぎ捨て問題については色々意見あるけどあれは運営のやり方でどうにかなるんじゃないかなと思う。
小雨がぱらついているんでギリギリまで雨合羽と服を着ててレース5分前で脱ぐ。寒い・・・天気予報は午前中はもちそうと言ってたのに。正直このタフなコースで雨が降られると萎えるけどここまできて日和っても仕方ないのでやれる事をやるだけ。
定刻どおり第2WAVEスタート。記録はネットタイムありきで運営しているので焦らずスタートラインを切れる。いきなり下りだけどボストンマラソンのコースは全体的に狭いのでスタートは大渋滞でスピードは思ったほどだせない。先は長いけどやはりちょっと焦る。
下ってすぐに今度は上りに切り替わる、こんな感じでアップダウンがずっと続いていくみたい。作戦としては30~35kmエリアにある登坂区間を頑張りすぎないようにしてそこそこのタイムでおさめて下り区間はキロ4分10秒前後を狙っていく。
最初の5キロのLAPタイム20''56’(キロ4''11')と狙った通りのタイムを出せたが早速前太ももに違和感があって、なんか重い。雨に降られて寒さで下りの着地衝撃をもろに受けてるせいなのか。こんな違和感は初めて。
とにかく沿道の声援がすごい。スポーツやるのも観るのも本気のアメリカ人だから応援の熱量もすごくて走っているこっちとしてはテンションが上がる。
10キロ手前くらいだったか、雨が止んだ。おっし!ただ細かいアップダウンが続いて前太ももがさっきより重くなってきている。今回ふくらはぎにカフを履いて走ったがこれは失敗だったかな。一度濡れてしまうとずっとふくらはぎを冷やし続けてしまう。10㎞地点LAPタイム20''51(キロ4''10)とタイムは今んとこいい感じだ。
10キロ地点以降は比較的平坦になりアップダウンもあるがそんなに長くはない。ちなみにボストンマラソンの補給は水とスポーツドリンクは「ゲーターレード」だ。懐かしいわー中学生のときチェリオの自販機でよく買ったな。100円で500mlだったのでお得感があったの思い出した。日本のマラソン大会はアクエリアスとポカリスエットが幅をきかせいて、海外マラソンはゲータレードらしい。味は日本人には不人気らしいけど個人的には駄菓子屋で売ってるジュースみたいで、これはこれでありかなと思ってしまった。
15キロ地点でLAPタイム21''04(キロ4''12')でちょっとペースが落ちた。前太ももが重いというか痛みに変わり始めてる。幸先不安ですが今回楽しみにしていたのは19キロ、27キロ、33キロ地点でモルテンがジェルを配っていると聞いてたので早速19キロ地点でゲット(1つ1000円の補給食です)。あとハーフ地点手前にウェルズレイ女子大があって女子学生による熱烈な声援があると聞いてたけど500m手前から絶叫にも近い金切り声が聞こえてくるほどの熱い応援をしてくれる。ハイタッチしながら走る、いやー嬉しいっす。
20キロ地点でLAPタイム21''34(キロ4''18')とトイレに駆け込んだのでタイムが落ちてる。さらに1段階前太ももが痛くなる。最後まで持つかどうかの心配になってきた。下りのダメージを甘く見ていた。
25キロ地点で21''28(キロ4''17')過ぎてここから一気に下り坂に入る。本来ならスピードアップで喜ぶべきだが、あまりに急な下りでダメージが半端ない。
30キロ地点で21''40(キロ4''20')下りの力を借りてもこのタイム。サブ3ペースを下回ったのは最初の15キロだけか。ここから登坂エリアに入るのでここで持ちこたえない事にはマラソンやってる醍醐味がないので集中して走る。心拍に余裕はあるので負荷かかっていいやと集団から遅れないようにする。34キロ地点でハートブレイク坂の頂上到達の垂れ幕をみて安堵する。ここからは下り基調だ。
下りにさしかかったところで35キロ地点で21''50(キロ4''22')。ここからボストン市内に入ってくると声援はさらに熱を帯びてくる。きついけど、ここで歩く勇気はないな。残り7キロ。普段の練習くらいの距離もないぞと自分をいいきかせながら走る。マンホールとか路面電車のレールがあるので滑らないように気を付ける。
そしてここから追い打ちをかけるように雨がまた降りだしてくる。それも結構な雨量で体が冷えるというか前太ももが冷えるー。手元タイムを見ると平均4分14秒で走ってきているのでサブ3イーブンペースを意識するというか、もう出せる力ギリギリで走る。ちょっとつまづいてしまい足が吊りそうになった。やばい、やばい
40キロ地点で21''35(キロ4''19')ずっと落ち目だったタイムが初めて盛り返した。あと2.2㎞だけど、これが長い。サブ3を切れるか切れないか微妙感じなのはなんとなくわかっていたのでここで踏ん張らないと後悔すると思って振り絞るが、体が反応しない。2つ手前のコーナーを曲がってそこからちょと上って左に曲がると遠くにゴールが見える。手元の時計が2時間58分過ぎくらい。間に合うか。てかもう時計みない!間に合うか。でもやっぱり気になってもう1回時計を見る。ん?厳しい?とわかり少しスピードが落ちてしまい。ゴール3時間49秒。悔しい。
ゴールして立ち止まると、すぐに左ふくらはぎがつってしまい動けなくなる。む、無理、立った状態で左足が前に出てるけど前にも後ろにもいけない。運営スタッフに支えてもらってなんとか凌ぐが今度は右ふらはぎが攣った。
救護班に車いすでテントに運んでもらい診てもらう。幸い攣りはすぐに収まったのでテントを出て完走メダルをもらって歩いてホテルに帰る。軽い低体温症気味で震えがとまらないけどその場にいても寒いのでよちよち歩きでとりあえずホテルに帰る。ホテルに戻って風呂に入ろうとするも足が上がらないのでパンツ靴下ぬぐのも難儀した。
そんな感じでボストンマラソン2023はサブ3未達で残念だったが、東京マラソンの高速コースで最高のコンディションで走ってサブ3達成するのはもちろん嬉しいけど、このタフなコース&バッドコンディションをこのタイムで走り切ったのは自信にもなった。レースはきつかったけどまたリベンジしたいと思えるくらいに楽しかった。感動したのは一人でトボトボ帰る道すがら会場から離れた街中で見知らぬ通行人が皆がコングラチュレーション!って言ってくれた。海外マラソン最高!